河村 隆一
自信の源は音楽
Q.音楽を始めたきっかけは?
僕は1人っ子だったんだけど、母の親友の息子さん達が弟みたいに可愛がってくれていて、当時、不良の代名詞とされていたエレキギターも、そのお兄ちゃん達から教わりました。どう弾くのか、コードはどう押さえるのか、身近に教えてくれる人がいなかったら音楽をやろうとは思わなかったかも知れません。
プロになろうと思ったのは中学1年生。その頃、音楽以外のことをしているのがすごく不安でした。
なんとなく心が寒いとか「こんなところにいていいのかな?」とかいつも考えてしまって。
小さい頃から歌う事が好きで、自信が持てることだったし、音楽に向き合う時だけ自信に満ちている自分がいましたね。
Q.「音楽に触れていないときが不安」という感覚とは?
16、17歳頃がピークだったかな。バンド活動の資金の為に、学校をサボってバイトに行くんですけど、それで1日が終わってしまうんですよね。朝から晩まで働いて「何もせずに今日も1日終わってしまった」「大切な事をやり終えていない」といつも感じていましたね。
Q.本格的にプロを目指し始めた頃の苦労はどんなものでしたか?
17歳で高校を辞め、他のバンドで活動をしている時にLUNA SEAと出会って、18歳で加入しました。その後わりと活動が早いペースで増えていったんですよ。週に4~5日はライブをして、1本のライブの為に2~3回はスタジオ練習に入って、という生活。働く時間がなくて食べる事には本当に苦労しましたね。
Q.リスペクトをしているアーティストを教えて下さい。
昔はDead EndのMORRIEさんでしたね。あと自分がやっているジャンルとは違うけど、ビリー・ジョエルは今でも好きですね。他にもポール・マッカートニー、The Doors、U2、いろいろな人の歌を聴いて「この人みたいな声を出せるようになれないかな」っていつも考えていましたね。
CDバブルを越えて気が付いたこと
Q.現在のミュージックシーンについてどう思いますか?
CDバブルを経験した僕としては、音楽の売れない現状を悲しいなと思いつつも変化の過渡期にいるのかなとも思っています。
僕自身もCDのセールスが5分の1になり、10分の1になり…。どんどん落ちていって、底が見えるまでの1年間くらいはきつかったですね。
でも、やっぱりどんな歌詞でも、どんなジャンルでも歌うということが自分の一番の武器だと認識していたし、歌うことで救われてきたから音楽で表現することを止めようと思いませんでした。
CDバブルの時代って世の中の中心に音楽があったから、CDを買うことがすごくトレンディなことだったと思うんですよ。
今は、音楽を聴くということよりも、メールをしたり、Twitterをしたり、音楽の代わりになる楽しいことがたくさん溢れているんですよね。
そういう時代の中で数字ばかり求めいてもダメだと気づいたんです。
そこで音楽家を続けるにあたって、自分自身が感じていた「足りない要素」を1つずつ克服していきました。1つ克服するたびに次の足りない要素を見つけて、克服して、また次を探す…。自分の心の声に耳を傾けて、何を変えたいのか、何が必要なのかを明確にしていきました。
Q.音楽への情熱を感じる瞬間は?
「自分が知らない自分の歌を聞けたとき」ですね。
ボクシングに『ミックスアップ』という言葉があります。対戦相手と拳を交えることでお互いを刺激し合い、たった1試合の中でも大きく成長することを指した言葉なのですが、そういうことがライブにも絶対あって、お客さんに育てられたり、メンバーに育てられたりするんですよ。相手からパワーをもらって、1日の中で1曲とか、ある1パートとか、瞬間的に聴いたこともない自分の声が出たときに情熱を感じますね。
ライブ以外のときも時々そういうことあるけど、断然ライブのときが多いですね。
Q.最後にアーティストを目指している人達にアドバイスをお願いします。
夢を実現するための手段というのは、よくよく自分の心で考えれば、既に自分の中にあることだったりします。自分の夢を具体的に語れるように、描けるように、伝えられるように、まずは自分の心の声に耳を傾けてみましょう。
MI HallでのセミナーではMI生からこんな質問が投げかけられました!
Q.歌詞はどうやって思いつくのですか?
僕が書く曲を人にプレゼントすることも多いので、曲は曲で書けそうなときにプロットを録音しておきます。
歌詞は、殴り書きを出来るノートをいくつか持っているんですよ。
それにその日のトピックスや日記を書き込んで、何を伝えたかったのかもう一度振り返る瞬間、もう少し深く掘り下げる瞬間を経て、どんどん自分の中で的を絞っていきます。
それが常時2~30曲分あって、メロディーが生まれたときに、例えばラブソングにしたいと思ったらノートしてその中からいくつかピックアップしていく。最後はメロディーに言葉を乗せていく作業をして作詞が完了します。
あとノートには出来れば物語の入り口を書きたいなと思っていて、好き嫌いとかじゃなくて、物語でプロットを書くようにしていますね。
ここまで曲をルーティーンとして書き続けるとは思わなかったので、LUNA SEAのころはそのとき思ったことを書いてましたね。
1枚目の作品って自分の生きてきた約20年間を全てその作品に吐き出すんですよね。
20年間で信じてきたものとか、1番濃い部分だと思うんですよ。でも、さっき言ったノートに書いておくとかの作業をしないと、次の作品につながっていかないんですよね。
Q.広い会場でライブをする時、遠くの席の人にも伝わるようにパフォーマンスするため、気をつけていることはありますか?
絶対的に目を合わせるってことを心がける。例えば東京ドームのような巨大なところでも、一番後ろの人の頭の形とかは絶対にわかる。
その人がどう動いているのか、目で追うことでだいたいその周辺にいる人達は目が合ったと思ってくれるし、それは最低限することですね。
大きな会場になるとどうしても伝達するスピードが遅くなるので「お前ら行くぞー!」って声も遅れてお客さんに伝わるんですよね。
その遅れてくる間を感じてMCをしないと、遠い人達はずーっとリズムが合わないままなんですよ。それだと結局「見てくれてない」「目は合ったと思ったけど無視されてる」と感じるんですよ。
だからMCはまくし立てる感じではなくて少しセーブして言ったり、気をつけています。
Q.綺麗な声を保つ秘訣はなんですか?
乾燥する季節、あと僕は花粉症を持っているからアレルギー鼻炎が起きているとすごく駄目なんです。
鼻の後ろに空洞がみんなあってね、ここがスピーカーになるんですよ。
ここがアレルギーで炎症を起こしていたりすると、空洞が小さくなるから音量が下がる。音量が下がると耳でチェックしている自分の声が小さいと思うので、頑張りすぎて声がつぶれていく。
綺麗な声をずーっと保って何十時間も歌うってなったら絶対に鼻をクリーンに維持することと、自分の歌いやすいモニターを時間をかけてもちゃんと作ること。
この前も武道館で71曲ってのをやったんですけど、5時間強歌ったんで、やっぱりそういうときにはモニターが肝でしたね。
それからマイクの使い方も研究して欲しい。アコギのホールに当てるときもそうだし、ドラムのバスドラもそうだし、ヴォーカルもそうなんだけど、音が飛んでくるところに対してマイクをずらしていくと、声の質っていうのは絶対に変わっていくんです。自分の体調と自分の声がどういう状態なのか「ざらついている」のか「すごくクリーン」なのか理解する事ももちろん、「会場の鳴り」「視線」「マイク尻の高さ」だったりとかそういうことも研究するのはすごく大事。
あと、マイクヘッドに高音をぶつけるっていうイメージで訓練をやっていくと、音量が上がってくるんですよ。そうするとさっきとは逆で、楽をしても十分に遠くに届く声が出てくる。それもまたクリアな声を維持するのにいいかもしれないね。









