Dean Brown

ギターを始めたきっかけはジミ・ヘンドリックス
Q1.ギターを始めたきっかけは?
僕の母はジャズシンガーだったんだ。彼女にはギターリスト兼アレンジャーがついていた。彼は僕らの家にいて、ギターを弾いたりしていたから、ギターに自然に興味を持ち始めたんだ。ただその時は、「あーかっこいいなー」ってぐらいで、興味を持っていても実際には弾き始めなかったけどね。
その後、ジミ・ヘンドリックスを聴いた時にすごく興奮して、これを一生やっていきたいって思ったよ。母がミュージシャンだから音楽はまあまあ好きだったんだけど、ジミ・ヘンドリックスを聴いた時には、本当に「すごい!」って思った。母のやっていた音楽はジャズだったから、音楽は大人のためのものなんだって思ってた。
でも、 ジミ・ヘンドリックスを聞いて突然、ギターはジャズだけじゃなくてこういう音楽のためにでもあるんだって気づいたんだ。それが僕の始まりさ。
Q2.音楽業界での初めての仕事はどんな仕事でしたか?
僕は13歳の時にプロとして初めて演奏したんだ。
バンドと一緒に軍隊の基地とかティーンセンターとかでね。基地では実際のクラブで演奏したよ。アルコールを出すような場所で働くには若すぎるからって、いつも一緒に母が来なきゃいけなかったんだけどね。それが一番始めかな。
15歳の時に両親と一緒に韓国へ引っ越す事になったんだ。そして僕らはソウルのクラブで毎晩演奏するようになって、休み無しで1年半それが続いたよ。当時に流行っていたトップ40の曲を日ごとに決めて弾いていた。韓国のトップ40の曲も弾いたよ。僕らはすごく人気があって、韓国のロックスターだったね。
それで本当にお小遣い程度なんだけど、一週間に$165ぐらい稼いでいたよ。
例えばパット・マルティーノのグループは1978年、79年に一週間に$350ぐらいもらっていたというから、僕らのもらったお金はその半分。でも、1970年だからね。アメリカではたいしていい額じゃないけど、韓国ではいいお金だったんだよ。だって当時の為替相場は、$1が600ウォンだったからね(笑)。
演奏しているときはいつでもオーディションされていると意識すること
Q3.駆け出しの頃の仕事の取り方は?
子供の頃はバンドのオーディションに行って仕事を手に入れてた。それから学校に行き始めて、学校の色んな人たちと演奏して、オーディションを受けるより先に「あいつ上手いから誘おうぜ」って感じで仲間に入ってたよ。
それってつまり、自分自身も知らないうちに、いつでも、形のないオーディションをされてたってことなんだ。マイルス・デイヴィスやミック・ジャガーの耳にだって届くかもしれないんだ。彼らだってビールでも飲みにふらっとクラブに来たりするだろ?君を聞きに来る訳じゃなくて、ただビールを飲みにさ。そのとき君はそこにいる。それで、気に入られるって事もあるだろ?
それが、君はいつもオーディションされてるってことさ。
その後、ビリー・コブハムのオーディションを受けて、それが僕の最初の世界ツアーだった。そこから先は、オーディションは一度も受けてない。口コミが広がり始めて、たくさんの場所でたくさんの人たちの前で演奏するほど評判は広まるんだ。でも演奏中にそんなこと気にしてられないから、実際に「オーディションされてる」って感じた事はないんだけどね。僕が気にするのは音楽だけだからさ。
音楽は航空管制よりもちょっと難しいんだ。航空管制の仕事をしている人はぼけーっとしちゃいけないだろ?
音楽も一緒さ。常にそばにいなくちゃいけない。常に集中もしないといけない。「彼女は僕の事好きなんだろうか?」とか考えたら、もう集中力はゼロさ。多分、やってる本人は「すごくかっこ良く弾けてる」と思っているだろうけど、マイルス・デイヴィスが言ってた言葉にもあるように「女のために弾くな、音楽のために弾け」ってことだ。マイルス・デイヴィスは女のために弾いてる音楽は聞き分けちゃうらしいよ。そういうときって音楽に対してのアプローチが違うみたいだね。
Q4.ソロ活動を始めたきっかけは?
この質問は今までも何度も聞かれたよ。13歳とか14歳からずっと何かのプロジェクトをしていたんだ。不運なことにレコード契約がとれるまでに、すごく長い時間がかかったよ。すごくいいバンドだったし、すごくいいデモを作ったんだ。楽曲も良かったから、今でも演奏している曲もあるよ。でも誰とも契約できなかった。なんらかの理由で、20年かかったね(笑)。これは教訓だよね。音楽には行き先がない。終わりがない。「ここで終わり」っていうのがないんだよね。「よし、やったぞ。あーでもここにもっとやるべきことがある」って感じでね。音楽は旅なんだ。物事は必要に応じて生じる。
Q5.これまでの演奏で最高に素晴らしかった時はいつの演奏ですか?
僕の最高の演奏?まだ起こってないかな(笑)今までやったパフォーマンス全てが最高であり、最低だね。音楽は喜びなんだ。僕はそのために演奏する。一番になろうとかこの人よりうまくなりたいとかって理由では演奏しない。僕は自分に出来る最高の演奏をしたいだけだし、いつも新しい事を学ぼうとしているだけだから。
もし今、「あのときのパフォーマンスが最高だった」って口に出せばそのすぐ後に「いやあっちの方がいいかな」って思うしね。そっちの方がいいっていうよりも、違うモノだからね。だから、これは難しい質問だな。
音楽への「愛」と「好き」の違い
Q6.あなたにとって音楽とは?
僕にとって音楽とは平和だね。演奏すると、肉体的にも精神的にも平和を感じるんだ。だから音楽は僕にとってすごく重要なんだ、僕はそんなに趣味もないし。テニスはするのは好きだけど、それはただの楽しみであって。音楽はもっとスピリチュアルなものなんだ、それこそ宗教的でもあって。これが僕にとっての音楽だよ。宇宙で一番暖かい平和さ。
Q7.プロを目指している人達にアドバイスをお願いします。
音楽が好きだという理由でミュージシャンになるな。それじゃ足りない。音楽が必要だと思わなくちゃ。
もし必要だと思わなければ、君はお金がなくてご飯を2日間食べられなかったりしたら辛くてたまらなくなるだろう。もし音楽が君にとってすごく重要で、演奏しなければ辛くてたまらないと思うなら、それをすることはとても素晴らしい事だし、素晴らしい仕事だ。でも「音楽が好き」ってだけなら足りない。「お金を儲けなくちゃ」とか考え始めるだろ?もちろん生きる為にはそれも必要だけど。音楽について考える事はすごく難しくて、演奏する時とか、曲を覚える時に「お金のためだ」なんて思っちゃいけないんだ。ただ音楽に集中しないとね。みんな「どれだけ自分がすごいか」を話すことに時間を使いたがる。でもそんなことはせず、ただ練習して演奏するんだ。それが君が出来る一番大事な事だ。さっきも言ったけど、ただ好きだからっていう理由だけで演奏するな。必要だと思わなくちゃ。そして音楽を愛せ。そうすれば辛い時期でも辛いと感じない。保証してもいい。君がただの音楽好きなら、本当に辛い時期に音楽を恨みさえするだろう。そんなことは絶対にダメだろう?
誰だって自分が好きな仕事に就きたい。だから自分の音楽への気持ちを確信するんだ。









